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大分うにファームのこれまで

 

海の環境保全と磯焼けウニの畜養事業を世界中で展開するオランダ・ノルウェー企業、ウニノミクス社と手を組み、2017年から共同で実証試験に取り組んでまいりました。

2019年3月に大分県で商業規模でのウニ畜養を開始するため、大分うにファームを設立。2019年12月に現場の一部が完成し、最大生産能力の10分の1の生産量で畜養を開始しました。今後はオペレーションの改善活動を重ね、最終的にはフル稼動で水槽約200台、年間45トンの出荷を目標にしています。

2017年のウニ畜養試験開始当初は、失敗続きの日々でした。全身棘で覆われ見た目は丈夫そうな生き物のウニも、水槽の中では意外と繊細な生き物であることが最初に痛感したことです。採算の合う事業にするには畜養ウニの斃死率を一定以下に抑える必要があります。ウニノミクス社が並行して他地域で行なっている試験で得たノウハウを共有してもらい、水質・水温管理、飼育密度、給餌・掃除方法・頻度など斃死に影響していると思われる要因を見つけては潰していく作業を続けました。

また、一口にウニと言っても、品種や棲息地域が異なれば性質・性格が異なり、他で上手くいった方法そのままを真似しても大分のムラサキウニでは上手くいかない部分も多々ありました。広島大学にも畜養と給餌に関して研究協力をいただき、ようやく大分のウニの性質に合った畜養方法を導き出し、自信を持って商業化に踏み切れるだけの経験と知識を得ました。

ウニ畜養で欠かすことができないもう一つの側面が、磯焼けの海からウニを駆除・漁獲することです。漁業権の関係上、漁業者でなければ漁獲できないため、地元の漁協、漁師さんに磯焼けウニの畜養事業によって地元漁業へもたらされる効果を理解していただき、同じベクトルに向かって活動していくことが不可欠です。

世界中どこにも成功事例がないこの取り組みに対して、当初は地元漁協も半信半疑な様子でした。我々の熱意と試験進捗状況を定期的に報告し対話を重ねていく次第に少しずつ関心を持ってもらえるようになり、2018年8月の国見漁協役員会議では磯焼けウニ畜養の取り組みと漁協としての協力体制が議論され、協力関係が本格的なものとなりました。2019年2月には漁協役員向けに畜養ウニの試食会を開催し、参加者からは売り物にならない磯焼けムラサキウニが、たった10週間の畜養で地元の赤ウニと思うぐらいの味に育つことへの驚きと本事業への期待のお言葉をいただきました。